Someone looked back
レンズの中にいたはずの人物が、現像後は撮影者の背後に立っているように見える。優が最後まで公開しなかった代表作。
Photographer / Tokyo / Sightline Archive
堀北優は、反射、ガラス、家庭写真、匿名の視線を主題に制作していたフォトグラファーです。 作品は美しく静かなポートフォリオとして残されていますが、撮影メモには「ゆめりん」「夢男」「」という別名が繰り返し現れます。 ここでは完成作、未使用カット、家族写真、復元された連絡記録を、展示順だけでなく考察の順番として並べています。
レンズの中にいたはずの人物が、現像後は撮影者の背後に立っているように見える。優が最後まで公開しなかった代表作。
検索キャッシュから復元された本人写真。ファイル名だけが何度も書き換えられており、最後の名前は「」だった。
顔の上だけが丁寧に潰された集合写真。優のメモには「消しているのは本人ではなく、見た人の責任」とだけ残されている。
ベンチの中央に置かれた人形を、真正面から撮っただけの一枚。誰も座っていないのに、背もたれの影だけが人の肩幅で残っている。
家族写真の端だけをトリミングした連作。中央にいるはずの人間より、端の余白のほうが先に劣化している。
誰かが楽しそうに写っている。優のノートには「家族写真は、見られなかった時間ほど明るい」とだけある。
未使用カットの一覧。赤鉛筆で「Bの常連」「4年以上」「夢男には会える」と書き込みがある。
被写体は無関係に見える。けれどNの管理人は、この写真の撮影時刻と佐藤夢男の検索ログが一致すると記録した。
優はゆめりんのサイトを少なくとも四年以上閲覧していた。最初の記録は、かわいい日記への短い返信と、写真を褒めるだけの何気ない投稿だった。
聞き逃した曲名、録音に失敗した時間、翌朝に買う予定だったフィルムの型番だけが残っている。余白には「今度ちゃんと聞く」と丸い字で書かれている。
優はこの日、夢の国ランドへ行った。メモには集合時間、観覧車の近くという場所、持っていくカメラ、雨が降った時の待ち合わせ直しだけが書かれている。
24歳。東京を拠点に、視線、反射、家族写真、削除済み投稿を扱う写真家。 ゆめりんのサイトでは「」と名乗り、常連歴は四年以上。 このポートフォリオは本人の公開ページを復元したものだが、作品解説の一部はNの管理人が注釈として補った。
公開ページの末尾に残っていたFavorite欄です。大げさな説明はなく、かわいい個人サイトと、 名前を隠してくれる検索ページだけが並んでいます。写真は答えではありません。 ただ、同じ二つのリンクを何度も開いた記録だけが残っています。